October 22, 2019

セキュリティトークンオファリング(STO)について知っておくべきことのすべて

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セキュリティトークンオファリング(STO)について知っておくべきことのすべて

Cardanoの公式商業化部門であるEMURGOは、まもなく始まるセキュリティトークンやセキュリティトークンオファリング(STO)時代に向け、着実に戦略的な地盤を固めています。拡張性、持続可能性、相互運用性を備え、リサーチ主導のアプローチを採用する第三世代ブロックチェーンのCardano(ADA)。STOはそのバリュープロポジションと非常に大きなシナジーと連携の可能性が期待されます。

EMURGOはジャパンブロックチェーンカンファレンスDCブロックチェーンサミットTaipei DLT 101などの主要なブロックチェーンの会議に多数参加し、STOの将来についての講演を継続的に実施しています。これにより、CardanoにおけるSTOの潜在的有用性を広く知らしめるとともに、Cardano上でのSTOを検討する企業をサポートする、EMURGOのエンドツーエンドの専門的アドバイザリーサービスの認知度向上を図っています。

さらにEMURGOは、米国のChamber of Digital Commerce(デジタルコマース会議)への執行委員としての参画Blockchain For Europeの設立メンバーとなることで、政策立案者と直接対話し、ブロックチェーンやセキュリティトークンに関する最新の情報を入手しています。このような営みは、Cardanoやブロックチェーンに関する情報リソースをブロックチェーンプロジェクトや企業、国会議員等と共有することで、ブロックチェーンに賛同する取組を次第に実現していくことを目的としています。

さらにEMURGOはSTOやブロックチェーン、トークン化、ユースケースの潜在的価値に関する役立つ記事を発表することにも注力してきました。今回は、セキュリティトークンやSTOの基礎を習得できるよう、今知っておくべきことのすべてを簡単にお伝えします。

セキュリティトークン、およびセキュリティトークンオファリング(STO)とは何か

「セキュリティ(証券)」とは、簡単に言えば投資契約のことです。米国では、Howey テストと呼ばれる金融資産が証券に該当するかを判定するテストの中で、投資契約とは何かを詳細に規定しており、以下のような要件を挙げています。

1. 金銭による投資である
2. 利益を期待するものである
3. 一般的な企業における金銭の投資である
4.生み出される収益は第三者の取組に依存する

実世界の資産は、デジタルトークンとしてブロックチェーン上で相当する資産に表すことができ、投資契約や証券として販売が可能です。不動産、知財、株式などの資産はすべてデジタルトークンとしてブロックチェーン上に資産価値を表すことができます。これにより投資家は、起業家や他人の労働から利益を獲得する機会を得られます。

このようにセキュリティトークンは金融商品に分類されるため、有価証券と同様のルールによる規制を受けます(多くの国では、分類のためにHoweyテストに類似した体制を採用しています)。セキュリティトークンは具体的な資産の裏付けを持ち、利益、配当、利子など、獲得が期待される金銭を表します。金融証券を監督する規制機関による規制を受け、金融証券に関する法律を遵守し、販売にあたっては承認、認可が必要となります。

STOは、投資家に対してこのようなデジタルセキュリティトークンを販売することを指します。オファリングは公開されることもあれば非公開の場合もあり、ブロックチェーン上の任意の具体的な資産をデジタルトークン化して表し、広範囲の投資家グループに提供します。

セキュリティトークン vs ユーティリティトークン:両者の違いとは

簡単に言えば、ユーティリティトークンとは、将来的に何かのために使用するという意図を持って購入する、ブロックチェーンベースの資産のことです。たとえば、オンラインゲームの開発会社は、ユーティリティトークンを発行して、ゲーム開発のための資金を調達することができます。ゲームの開発が終わると、トークンの所有者はゲーム内でのアイテム等の購入にトークンを使用することができます。ゲームの開発会社はプロジェクトに資金を調達するため、資本を手に入れることができ、ゲームのユーザーは将来的にゲーム内で使用できるトークンを入手することができるのです。ユーティリティトークンは、ブロックチェーンベースのプラットフォームやアプリケーション上のサービスに利用することができます。

ユーティリティトークンは、目的が不明瞭な場合、セキュリティトークンと混同されがちです。セキュリティトークンは、収益を獲得するために投資として購入されるものです。セキュリティトークンの購入者は、利益を期待して購入しています。セキュリティトークンの価値を向上させるには、投資家は第三者に依存する必要があります。たとえば、不動産の価値を表すセキュリティトークンでは、トークンの保有者にとっての投資価値を向上させるには、不動産ディベロッパーがその役割を果たすことが期待されます。

ユーティリティトークンはセキュリティトークンとは異なり、投資のリターンを期待して購入されるわけではありません。価値を享受するためではなく、使用することを目的として購入されるのです。ユーティリティトークンの核となるのは、「利用ができる」という性質です。このため、ユーティリティトークンには前述の例に代表される、多種多様なユースケースが存在します。ユーティリティトークンはさまざまな利用用途に適用することが可能です。

セキュリティトークンとは何か。その可能性と課題とは?

セキュリティトークンは、金融界はもとより、新興のブロックチェーン業界においてもまだ認知され始めた段階です。しかし、セキュリティトークン(証券のトークン化)の可能性は、業界の初期に現れる特徴ゆえに無限のものとなるのです。

金融業界への新規参入者にとって、コンプライアンスは常に頭痛の種でした。企業の株式を個人へと販売したり譲渡するには、いくつものコンプライアンス上の手順を踏むことを求められる場合もあります。ブロックチェーンは所有権を追跡するために確固とした手段を提供するだけではなく、規制や権利をセキュリティトークンのスマートコントラクトに直接ハードコーディングすることにより、コンプライアンス対応を効率化します。プログラム化が可能なコンプライアンス対応の例には、ロックアップ期間や身元証明の要件などがあります。コンプライアンスをさらに自動化することができれば、発行や流通にかかるコストを大幅に削減することができるでしょう。

セキュリティトークンのメリットはこの他にも、配当の配布自動化や、委任投票の簡素化、高価値資産の所有権の分割、休みなく市場を運用できることによる流動性に向上などが挙げられます。スタートアップ企業は、収益が見込める事業に対し、より広範な投資家グループからのクラウドファンディングによる資金調達という、安全で透明性の高い手法も活用できるようになります。

このように、セキュリティトークンは常に価値の高い柔軟な体制を実現するものであり、企業の特定のニーズに適した独自の証券を活用できるようになります。たとえば、企業は将来得られる利益の分配を提案することができますが、企業の株主によってもたらされた他の権利を、トークンとともに返却する必要はありません。また、企業は単一の製品ラインによる利益の分配を裏付けとして、セキュリティトークンを構成することもできます。あるいは、フラクショナル・オーナーシップ(所有権の共有)による転換社債等の負債の形でセキュリティトークンを返却することで、個人投資家も高額な社債を所有することもできます。

セキュリティトークンの可能性は、無限に広がっているのです。

しかしSTO市場やその基盤となるインフラストラクチャは、一日にして作り上げられるものではありません。一年でも難しいでしょう。イニシャルコインオファリング(ICO)の隆盛と崩壊に対するネガティブなイメージは今なおSTO市場に付きまとい、投資家の印象を塗り替えるには時間が必要です。

STOはICOの「ワイルド・ウェスト(辺境地帯)」ではないということを証明するには、ブロックチェーン業界に明確な規則を制定し、詐欺などのマイナス要素を取り除くことで資金の信頼性を確立しなければなりません。

投資家が待ち望むのが明確な規則であるということは、ブロックチェーンの導入に時間がかかる大きな理由の一つになっています。規則は一夜にして変更出来るものではありません。ブロックチェーンテクノロジーの抽象的で技術的な側面や、従来の産業を根幹から変革する可能性を考慮すればなおのことです。

しかし、ブロックチェーン業界は優れた人材の力を結集して有用なプロジェクトを構築したり、カンファレンスやメディア、政策立案者などで認知度向上に取り組んだり、継続的なアップデートを行ったりすることで、絶えず前進しています。セキュリティトークンやトークン化がメインストリームへと躍り出るのは、時間の問題なのです。

ICO、IEO、IPOとは:三者の比較
イニシャルコインオファリング(ICO)とイニシャルエクスチェンジオファリング(IEO)は、いずれも広範囲の投資家グループを対象に、デジタルブロックチェーンベースのトークンを配布するもので、一般に公開する手法と対象を限定する手法のいずれも利用可能です。どちらもユーティリティトークンの配布により適したものとなっていますが、これは現時点ではユーティリティトークンの方がより明確な規程が定められているためです。

ICOでは、トークンを発行するプロジェクトが自ら、ネイティブなユーティリティトークンをICOに参加する投資家に配布します。ICOは通常、複数ラウンドが実施され、一定の「ディスカウント」が提示されることもあります。投資家はプロジェクトのネイティブなユーティリティトークンと引き換えに、指定の暗号通貨をトークンを発行するプロジェクトに提供します。2017年はICOは栄光と挫折を同時に味わうこととなります。調達に成功した資金を品質の高いプロジェクトの開始に充てることができたICOもあれば、品質管理の欠如という烙印を押されたICOもありました。

IEOでは、トークンを発行するプロジェクトは、仮想通貨取引所にプロジェクトのユーティリティトークンを上場します。取引所のユーザーは、取引所が詳細な調査を行ったという前提のもと、上場されたトークンをいち早く入手する権利を享受できます。プロジェクトの側からすれば、広範なユーザーにリーチすることが可能となり、理論上は更なる流動性が約束されます。現在のところ、IEOはプロジェクトへの多額の資金を調達しつつ、ユーティリティトークンの販売と配布をいち早く実施することができます。プロジェクトも投資家も、一見華やかなマーケティングや大げさなうたい文句に惑わされてしまいがちですが、トークンモデルや計画の実現可能性、あるいはプロジェクトが広く導入される可能性を十分に吟味するべきでしょう。

ICOとSTOは、従来のIPOモデルに代わるものです。400年にわたり、世界中の多くの起業家たちは自社のIPOの日を夢見てきました。IPOは、成熟したエコシステムと堅牢なインフラストラクチャを備え、資金調達の手法として予測不能な要素の少ない、確立されたものです。しかし、成長の初期段階にある企業にはIPOの活用の道は閉ざされ、収益や利益の高い企業のみが公開を許されてきました。IPOを実施するためには、コンプライアンスにかかるコスト、規制の水準、第三者によるサービス提供の必要性、収入源の確保といった高い壁が立ちはだかっているのです。

STOの現在

今はまだ、セキュリティトークンや資産のトークン化は揺籃期にあります。デジタルトークンには今後活用され得る領域がまだ多く残されており、対応する市場規模に応じて、急速な成長を遂げるでしょう。STOの認知度やブロックチェーンテクノロジーの導入は、ある分野では徐々に進み、またある分野では急速に展開していきます。

現在、市場におけるデジタル資産の総額はおよそ2,800億ドルに達しています(本稿執筆時点)。世界の株式市場の総額は約70兆ドルで、物理的な資産の総額(貨幣、紙幣、当座預金、貯蓄)は37兆ドルです。つまり、世界の株式市場や資産の供給のトークン化には、はかり知れないほどの成長の可能性があるのです。

他の新興市場と同様に、デジタル証券市場は、インフラストラクチャの開発に歩調をあわせ導入を進め、既存の法や規制のなか舵取りをしていくという課題に直面しています。しかし、議会がデジタル証券やセキュリティトークンに関する規程を定め、先行するプレイヤーにより効率的なエコシステムの構築と検証がなされれば、それに続いて導入も進んでいくと思われます。

より明確な規制を実現するためには、基準を遵守し、セキュリティトークンの有用性を広く知らしめるよう努め、開発者に教育を施し、実際的な価値を持つ製品とともにエコシステムを構築することで、ブロックチェーン業界に悪影響をもたらすプレイヤーや詐欺を封じていかなければなりません。

政府が次第にセキュリティトークンやブロックチェーンの全体像について理解を深めているのは、良い兆しと言えるでしょう。絶えず発表される有用な製品により、品質水準は改善を続けており、ブロックチェーンを基盤とした未来の世界の実現を推し進めています。

リサーチ主導のアプローチにより進化を続ける初の第三世代ブロックチェーンであるCardanoは、政府、企業、各種機関、開発者らのニーズを重視し、大規模な専門家チームが構築を進めています。

Cardano上のSTOに対するEMURGOの役割とは

EMURGOは、主要なカンファレンスでの多数の講演の実施や、政府との提携によるブロックチェーン協会への参画に加え、主要デジタルマーチャントおよび投資銀行であるY2Xへの直接投資や提携も実現しています。Y2XはSTO等を活用した起業家の資金調達の支援を行っています。Cardanoは、特に規制されたSTOの領域において、Y2Xやポートフォリオ企業に選ばれるプロトコルとなることで、ADA保有者に更なる価値を提供しています。Y2Xの共同設立者のJ. Todd MorleyとDave Shulerはウォールストリートの金融業界で確立された経歴を持ち、プラットフォームの構築には、専門的な知見やグローバルなネットワークといったメリットが活かされています。

EMURGOは、ブロックチェーンベースのソリューションの実装や、既存産業へのトークン化の導入を検討する企業を対象としたエンドツーエンドのアドバイザリーサービスを現在も提供しており、Cardanoが選ばれるプロトコルとなるべく取組を行っています。

あなたのプロジェクトに適しているのは…?

Cardanoの公式商業化部門であるEMURGOは、御社や御社のお客様にとって最善の解を判断するためのサポートを提供します。御社の取組をぜひお聞かせください。EMURGOの主要ビジネスユニットの一つが、アドバイザリーサービスです。当社の専門家によるチームは、御社やそのプロジェクトのために、あるいはトークン化経済を実現するという使命のために、カスタマイズされた多様なブロックチェーンコンサルティングサービスをいつでもご提供致します。

コンサルティングサービスにご興味をお持ちの方はこちらからご連絡ください。追ってご返信差し上げます。

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EMURGOは、Cardanoをグローバルに発展させる
EMURGOはCardanoブロックチェーンの導入を促すだけでなく、Cardanoの分散型ブロックチェーンエコシステムを採用しているプロジェクトや組織を創出し、投資やアドバイスを行うことによってCardanoブロックチェーンの利便性を向上します。ブロックチェーンの研究開発から得た専門知識および業界パートナーとのグローバルなネットワークを活かし、組織や人材教育等の支援を行っています。

EMURGOは2017年6月に日本で創業し、以降シンガポールやインドネシア・インド・ニューヨークに展開しており、Cardanoプロジェクトの公式な商業化部門として活動しています。Cardanoエコシステムのグローバルな成長、そしてCardanoブロックチェーンの導入促進のためにIOHK/Cardano財団と連携しています。プロジェクトの詳細については、https://jp.dev.emurgo.io/ をご覧ください!

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