June 17, 2020

従来の金融サービスにおいてCardanoブロックチェーンが実現するものとは

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金融サービスの基礎を形作るのが「契約」です。契約は、融資、有価証券、債券、住宅ローンなど多岐に渡ります。従来の金融システムにおいては、これらの契約書は世界各地の法律の専門家が、自国の法律や法律用語、およびその解釈に基づき作成してきました。一方、これらの契約においては、キャッシュフローの義務から生じる要素を欠かすことはできません。金融に関する契約の要点を抽出し、価値の流れに当てはめて考えてみると、これらが限られたパターンに従っていることが分かります。

金融の契約の分類とCardanoのPlutusの可能性

ACTUSプロジェクトは、あらゆる金融契約の核となる要素を抽出し、いくつかのグループに分類しようとする取り組みです。

「ACTUSは多様な金融文書を、管理可能な数のキャッシュフローパターン、いわゆる契約タイプ(CT)に分類することを目指しています」(ACTUSより引用)このような目標の達成に向け、ACTUSは契約を確認するための2つの基準をウェブサイト上で定義しています。

  1. ACTUSデータ基準:
  • 一般的な法律用語や契約タイプ(CT)特性を定義したもので、さまざまな金融契約の特質を表します。データ辞書の形式を取り、契約タイプごとの特性の妥当性と併記されます。

2. ACTUSアルゴリズム基準:

  • 契約用語を実際のキャッシュフローや一般的なビジネスイベントに転換する、法的契約に組み込まれた理論を定義したもの。

これら2つの基準に基づき、金融契約の大半のモデルを形成することが可能です。まもなくGoguenと共にリリースされるCardanoのスマートコントラクトのプログラミング言語、Plutusは、これらの基準に基づき定義される金融契約の作成を行うことができます。ACTUSの定義する基準における金融契約を作成することで、PlutusやPlutusプラットフォーム上で形成されうるCardanoスマートコントラクトの素晴らしい可能性が拡がります。

Cardanoはいかにして金融サービスを実現するか

科学哲学を通じて進化を続ける初の第3世代ブロックチェーン、Cardanoはブロックチェーンインフラストラクチャを構築し、他のデータ集約型アプリケーションとともに金融サービスをホスティングします。このような金融サービスには、Cardanoブロックチェーン内で構築されるいくつかの重要な構成要素が必要です。

  1. 交換の対象となるデジタル資産(ADA通貨やCardanoブロックチェーン上でホスティングされる非代替性トークンなど)
  2. スマートコントラクト(融資、有価証券など、Plutusプログラミングプラットフォーム上で構築されるものなど)
  3. トランザクションが実施されたことの検証(ステークプール運営者を通じたトランザクション検証など)

Cardanoはこの3つの柱により、金融サービスの要求を完全に満たすことができます。さらに、非代替性トークンをCardanoブロックチェーン上で作成することも可能になります。これらは、ADAの価値とは直接価値がリンクしないトークンです。非代替性トークンは異なる時期や異なる販売者の場合には同等の価格を保証しない資産を表します。このような種類の資産は、資産の需給の力学に基づき、ADAの価格とは独立して変動します。

Cardanoによる拡張UTxOモデルでは、固有のIDにより非代替性トークンをCardanoブロックチェーン上で追跡することができます。これは、Cardanoが他のUTxOモデルをベースとしたブロックチェーン、例えばビットコイン等と大きく異なる点です。Cardanoの拡張UTxOモデルはトランザクションにより移動するデータやCardanoノードが実行する対応する処理スキームを拡張する能力を持ちます。これにより、Cardano上にホストされた金融資産は、通常の文書の所有権と同様、アドレスに紐づけられることになります。

Cardanoブロックチェーン上のホストできる多様なサービスにより、Cardanoは拡張性や持続可能性、他のブロックチェーンやレガシーシステムとの相互運用性を備えて設計されます。

Cardano上での従来の金融サービスの可能性(クレジットの事例)

クレジットは、従来の金融サービスのなかでも主要なものです。人や組織は、将来的な支払いを約束して、資本にアクセスすることができるようになります。融資はPlutusによりスマートコントラクトの形式を取り、支払期間や支払日を定めることができます。しかし貸し手は、返済をしてくれないかも知れない借り手に資本を渡すことにより生じるリスクをどのようにして軽減するのでしょうか。この解決策は、非常に興味深いものです。資本を必要とする借り手が融資の対価としてCardanoブロックチェーン上に非代替性トークンを発行するのです。このような非代替性トークンは実世界の金融資産を表し、融資の担保として機能します。これにより、融資の貸し手は不履行時に請求する実世界の法的資産が保証されるのです。

最後に

Cardanoは金融サービスのホスティングに最適なブロックチェーンプラットフォームを提供しています。Cardanoは拡張性、持続可能性、相互運用性を備え、厳格なピアレビュー(査読)を経て信頼性の高いコードを実装したプロトコルです。金融サービスの基盤となる数多くの契約は、金融セクターの大手企業複数社が支える協働プロジェクト、ACTUSにより主要な要素が形成されています。契約の標準化における展開は、Goguenとともにリリース予定のPlutusプラットフォームにとって、非常に素晴らしい可能性を示してくれます。

現在、EMURGOとCardanoエコシステムはShelleyの提供開始を控えた最終段階の一つである、Cardanoインセンティブ付きテストネットの提供準備に注力しています。Cardanoの拡張UTxOモデルにより、ADAの価値とは独立した資産を表す、カスタマイズが可能な非代替性トークンを発行することができるようになります。Cardanoプラットフォームは、金融契約がCardanoブロックチェーン上で作成およびホスティングされるよう、準備を進めています。

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